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通常、不倫による慰謝料請求のご相談をお受けする際には、相手が既婚者と知って肉体関係を持った場合には慰謝料請求が可能ですとお伝えしております。
しかし、肉体関係がない場合でも慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります。
不貞行為に対する慰謝料請求権の根拠は、「夫婦一方が相手方に対して有する貞操権の侵害」「平穏な夫婦関係の破壊」とされています。
そのため、仮に肉体関係がない場合でも社会通念上妥当な範囲を逸脱した交際をし、夫婦関係の平穏を侵害していると認められれば、不法行為として慰謝料請求が認められるとも考えられます。
では、愛情表現を含むメールを送っていた場合はどうでしょう。
「愛している」「大好きだよ」「会いたい」等愛情表現をあらわにしたメールを送っていたこと自体が不貞行為(不法行為)に該当するか争われた裁判がありますが、肯定するものと否定するものと判断は分かれるようです。
肯定するものは、
「このようなメールは性交渉の存在自体を直接推認するものではないが、相手が配偶者に好意を抱いており、配偶者と会っていることを示唆するばかりか、身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり、婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである」としています。
ただし、違法性は軽微とみているようで慰謝料の額は30万円と低額でした。
(東京地方裁判所平成24年11月28日)
否定するものは
「私的メールのやり取りは、例え配偶者であっても、受信者以外の目に触れないことを想定しないものであり、性的な内容を含む親密なメールのやり取りをしていたこと自体を理由とする相手方に対する損害賠償請求は、配偶者、相手方のプライバシーを暴くものというべきである。メールの内容に照らしても、相手方が婚姻生活の破綻を殊更意図したとはいえない。したがって相手方の行為は損害賠償請求を正当化するような違法性を有るものではなく、不法行為の成立を認めることはできない。」としています。
(東京地方裁判所平成25年3月15日)
以上のように、親密なメールのやり取りが不法行為になるか判断が分かれるところです。
その他の事情も含め検討する必要があるでしょう。
お悩みの方は一度ご相談くださればと思います。
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