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夫の不貞行為が発覚し、離婚することになりました。
不貞の相手にも慰謝料を請求するつもりです。
この場合、離婚しないより、離婚した方が慰謝料の額は大きくなるのでしょうか?
このようなご相談を受けることが多々あります。
これまでであれば、離婚する場合と離婚しない場合、慰謝料の額に差があるとお伝えしてきました。離婚する方が被る精神的損害は大きいと考えられるからです。
しかし、この慰謝料の額に影響を与えそうな最高裁判所の判例が出ました。
この事案は、夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対し離婚に伴う慰謝料を請求することの可否を判断したものです。
夫が、妻の不貞行為の相手に対し、不貞があったことにより離婚をやむなくされ、精神的苦痛を被ったと主張し、不法行為に基づき、離婚に伴う慰謝料の支払を求めました。
下級審では198万円の支払いを命じていましたが、最高裁判所はこの請求を棄却しました。
最高裁判所は判決の中で、
「夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが、
協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても、離婚による婚姻の解消は,本
来、当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって、夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚
姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し,不貞行為を
理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当
該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦
の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図し
てその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至
らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」
以上によれば、夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、上記特段
の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが
相当である。」
平成31年2月19日 第三小法廷判決
この判決は、上記特段の事情がない限り、夫婦以外の第三者に離婚の慰謝料を負わせるものではないと判断したもので、直接不貞行為に係る慰謝料請求を否定したり、同請求において離婚が増額事由にならないと判断したものではありません。
ただ、上記特段の事情がない限り、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと言っている以上、やはり、上記特段の事情がない限り、損害として離婚慰謝料を上乗せすることは許されないとも考えられます。
この最高裁の判断を受けて、今後の裁判例に注目する必要がありそうです。
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