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遺言書は家族の羅針盤
遺言書とは、遺言者がその死後の相続関係、財産の処分、身分関係を定めるための最後の意思表示です。
つまり、自分の残した財産をどう処分するかの意思表示です。
遺言書がない場合、民法の相続分規定に従って相続が行われることになります。
しかし、、現金や金額の明確な預金だけなら相続分に応じて均等に分けることが可能ですが、土地や建物など分割ができないものの場合、相続人全員が共有することになり、それをどのようにわけるかでトラブルに発展する可能性があります。
本来助け合うべき肉親や親族が激しく争うという話もよく聞きます。
遺言書を残した方がいいケース
●先妻、先夫の子供と後妻、後夫の子供、認知した子供がいる]
●家族間ですでに不仲、争いを抱えている
●財産を与えたくない相続人がいる
●介護や事業に従事してくれた相続人がいる
●相続人に特定の財産を渡したい
●相続権のない孫、嫁に財産を与えたい
●特定の相続人に事業を継がせたい
●事実婚の妻に相続させたい。
遺言書は、残された家族間のトラブルを回避し、進むべき道をしめす羅針盤として、その必要性が高まっています。
多くの方が「うちは財産なんかないから」といいますが、家一軒あればそれをどのように分けるかでトラブルは生じます。
遺言書を残すことをお勧めします。
遺言書には色々書きたいと思っていらっしゃる方も多いでしょう。
しかし、遺言の中で法的に強制力が生じるのは民法等の法律に規定のある事項だけです。
仮に葬儀の方法や臓器提供について希望を記載しても法的な効果はありません。
また処分の対象となるのは遺言者の個人財産だけであり、会社財産等について
遺言書で取り決めても無効となってしまいます。
<法定遺言事項>
1.相続に関する事項
①推定相続人の排除とその取り消し
②相続分の指定又は指定の委託
③特別受益者の相続分に関する指定
④遺産分割方法の指定又はその委託
⑤遺産分割の禁止
⑥共同相続人の担保責任の定め
⑦遺贈の減殺方法の指定
2.財産処分に関する事項
①包括遺贈及び特定遺贈
②一般財団法人の設立
③信託の設定
3.身分に関する事項
①認知
②未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
4.遺言執行に関する事項
遺言執行者の指定又はその委託
5.その他
祭祀承継者の指定
難しい言葉も多くかかりづらいかもしれませんね。
普通方式の遺言には3種類あります。
①自筆証書遺書→すべて自書して作る遺言書のこと。遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、これに 押印しなければならない。
②秘密証書遺言→自分で書き残した遺言書を封印し、証人二人の立会いの下、公証人に証明してもらう遺言。
③公正証書遺言→公証人の目の前で、証人二人が立会い、遺言者が遺言の趣旨を口授し、それを公証人が筆記し、遺言者や証人に読み聞かせ、その正確であることを確認した後で各自これに署名押印する遺言。実際はあらかじめ遺言者の趣旨にしたがった原案を作成して行われる。
自筆証書遺言は文字通り自ら手書きで作成するもので、費用もかからず一番簡単な方法といえますが、加筆修正の方法など法律が定める厳格なルールがあり、これに反したら無効になる可能性があります。
また紛失や変造の危険もあるので確実な方法とはいえませんし、裁判所による検認の手続きを経なければなりません。
※検認
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名
など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
秘密証書遺言は誰にも内容を知られることなくできますが、公証人が内容を確認できないので、法的不備があったら無効になりかねません。
公正証書遺言は、公証役場の手数料はかかりますが、法律の専門家である公証人がチェックするため無効になることがなく、偽造・紛失などの心配もなく確実な方法といえます。
より確実に自己の意思を反映したいのなら、公正証書遺言を作成しましよう。
「うちは全部妻に残すだけだから。」「息子に全部継がせるから簡単に自筆ですませたい。」などとおっしゃるお方も多いですね。
確かに自筆証書遺言であれば費用もかからず、紙とペンがあれば簡単にできて良いように思えます。
しかし、自筆には前述のように紛失や無効になりやすい、検認手続きが必要等の不都合な点もあります。
公正証書による遺言であれば自筆証書遺言のような不都合はなくなります。
公正証書遺言のメリット・デメリットをまとめました。
1.公正証書遺言のメリット
①法律の専門家である公証人が作成するので方式に不備があって無効になったり、文言の意義が不明で
無効になったりする危険性がない
②遺言書の原本が公証役場に保管されるので内容の変造・紛失の危険がない
③検認の手続きが不要である
④文字を書くことができない人でも作成することができる
2.公正証書遺言のデメリット
①公証役場に証人と行かなければならない等面倒である
(病気等で行けない場合公証人に病院、自宅等まで来てもらうことも可)
②費用がかかる
③遺言の存在及び内容を証人に知られてしまう
<公正証書遺言作成の流れ>
①ご依頼
②遺言者のご意向を伺い遺言書の原案作成
③遺言原案を遺言者に提示、加筆修正を加えて仕上げ
④当事務所でご希望の場所の公証役場とやり取りをし、公正証書の原案作成をサポート
⑤作成した公正証書原案を遺言者に提示、加筆修正を加えて仕上げ
⑥公証役場の予約をとり、当日遺言者および証人二人と公証役場へ
公証人が遺言者本人と証人二人の面前で公正証書遺言を読み上げ
遺言者および証人二人が署名押印
⑦完成
公正証書遺言を作成する場合に必要な書類として、以下のようなものがあげられます。
①遺言書原案
②遺言者本人の印鑑登録証明書と実印
③遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本
④相続人以外の人に遺贈する場合、受遺者の住民票
⑤不動産登記簿謄本(遺産に不動産がある場合)
⑥固定資産評価証明書(遺産に不動産がある場合)]
また、公正証書遺言を作成する場合、当事務所にお支払いただく遺言書作成費用の他に、公証役場に支払う手数料が必要になります。
この手数料は相続財産の額によりことなりますので、下記表をご参照ください。
遺産の額 | 公証人の手数料 |
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 11000円 |
1000万円まで | 17000円 |
3000万円まで | 23000円 |
5000万円まで | 29000円 |
1億円まで | 43000円 |
注)上記金額に加えて、遺言の目的額が1億円まで、11000円の遺言手数料が加算されます。
また上記公証人の手数料は、一人の相続人に全部相続させる場合の額です。相続人が二人以上の
場合、それぞれの相続額に対する手数料が必要になります。
詳細な手数料計算はお問い合わせください。
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