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以前、離婚時に公正証書で取り決めた養育費の額を減額できるか、というお話をさせていただきました。
裁判所は、
当該合意がなされた当時予測ないし前提とされ得なかった事情の変更が生じた場合にこれを変更し得ることも、事情変更の原則ないし民法880条に基づき肯定されるべきである。
とし、子の親権者を母として離婚後に母が再婚し、再婚相手と子が養子縁組した事案において、公正証書で取り決めた養育費の額を減額する決定をしました。
では、事情変更があった場合、子の養育費はいつから減額がされるのでしょうか?
養育費に関する権利義務の内容は,離婚や再婚、養子縁組等一定の扶養要件から当然に発生するものではなく、協議ないし審判によって具体的に形成されるものなので、一旦協議又は審判によって定まった養育費額については、事情の変更があったとしても当然に権利義務の内容が変更されるものではなく、別途協議又は審判がなされない限り、その権利義務の内容に変更はありません。
つまり、養子縁組等の事情の変更があったとしても当然に変更になるわけではなく、調停、審判や当事者間の合意を経ないといけないということです。
そして権利義務の変更については、その始期を
① 請求時(調停・審判の申立時,裁判外での請求時など)
② 事情変更時(養子縁組時等)
とする裁判例があり、これまでは①とする裁判例が多くありました。
ただ、再婚相手との養子縁組の日にさかのぼって養育費の支払い義務が消滅したとする判例もありますので、紹介します。
最高裁第一小法廷平成30年6月28日決定です。
【事案の概要】
父母は、2002年に母を子の親権者として離婚、その後2004年に母が再婚し、再婚相手と子が養子縁組した。
母は2007年から2017年までの養育費を請求債権として父の不動産に強制競売を申し立て競売開始決定がされた。
これに対し父は2017年、事情変更ありとして養子縁組日まで遡って養育費を0円とする養育費減額請求を家裁に申し立てた。
因みに父母は、離婚時に子の養育費を決めていましたが、父は、離婚後収入が不安定でこの養育費を全く払っていませんでした。
【裁判所の判断】
原々審も原審も、母と養父(再婚相手)が第一次的には子の生活保持義務を負うとし、父の訴えを認め、最高裁もこれを維持しました。
また、養育費増減額の変更の始期については、原決定が、「原則として事情変更時に遡及するものの、生じた事由が権利者と義務者いずれの側に生じたものか、変更事由についての反対当事者の認識の有無、当該変更事由の内容や性質、遡及期間の養育費の支払状況、権利者側の生活保持状況および遡及期間内の他の新たな変更事由の有無等を総合して、公平の観点から遡及効を制限すべき場合が存するものと解する。」としており、これを最高裁も維持しています。
この事案では、父が離婚後養育費を支払っておらず、また、母も再婚後10年以上請求をしていませんでした。
上記から、変更の始期を養子縁組時に遡っても、母としては多大な過払金返還債務を負うなど不測の損害を被る事態は生じないという事情がありました。
養育費については、一度公正証書でその額を定めても、事情の変更があれば変更される可能性があります。
ただ、当事者の一方が事情変更を理由に勝手に変更できるわけではなく、当事者間の合意又は調停、審判を経る必要があります。
しかしながら、上記裁判例のように場合によっては事情変更時に遡って変更される可能性もありますので、再婚後の養子縁組等の事情がある場合はタイミングを見計らって相手に伝えた方がよいでしょう。
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