〒223‐0061 神奈川県横浜市港北区日吉1丁目7番43号
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1.確定拠出年金とは
確定拠出年金とは、老後の資産形成を目的にした私的年金です。
拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。
掛金を事業主が拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)と、加入者自身が拠出するiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。
(1)企業型DC(企業型確定拠出年金)
確定拠出年金制度を導入している企業が実施する確定拠出年金で、企業に在籍する従業員が対象者です。
将来給付する額をあらかじめ決めた上で、その給付額をまかなうために企業側が掛け金として拠出し、従業員本人が運用を行います。
確定拠出年金の掛け金は、退職金の前払いのような性格を有していることがうかがえます。
(2)iDeCo(以下、個人型確定拠出年金)
個人の加入者が自分で掛け金を拠出し、運用を行います。みずから掛け金を決めて、個人の責任で運用するものです。
「個人型」は、自営業者、公務員を含む厚生年金保険の被保険者、専業主婦等、公的年金制度に加入する60歳未満の全ての人が加入対象となっています。自身で掛金の積立て・運用を行い、老後の資産を形成する年金としての性格を有します。
かけ金を自ら拠出していることから貯蓄に近いといえます。
2.確定拠出年金は財産分与の対象になるのか?
結論からいいますと、確定拠出年金は、資産形成という側面もあることから、財産分与の対象になる可能性があります。
ただし、財産分与というのは、婚姻中に協力して形成した財産を離婚時に清算するという趣旨であることから、その対象となる財産は、婚姻期間中に形成したものに限られます。そのため、仮に確定拠出年金が財産分与の対象となるとしても、原則として、あくまで婚姻期間中の掛金相当の部分が対象になります。
(1)企業型DC(企業型確定拠出年金)の場合
企業型確定拠出年金の掛け金は、退職金の前払い的性質を有することから、財産分与の対象となる可能性が高いといえます。(退職金は、給料の後払い的性格を有し、給料は配偶者の貢献があって得られると考えられるからです)
ただ、こちらに関しては、参考になる裁判例があります。
<名古屋高裁平成21年5月28日判決(判例時報2069号50頁)>
夫の勤務している会社では退職金制度及び確定拠出年金制度が存するところ、以下①②を理由として本件では、退職金及び確定拠出年金については、直接清算的財産分与の対象とはせず、※扶養的財産分与の要素としてこれを斟酌するのが相当である、としました。
① 定年までに15年以上あることを考慮すると、退職金・年金の受給の確実性は必ずしも明確でないこと
② これらの本件別居時の価額を算出することもかなり困難であること
※財産分与には、清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与があります。財産分与については以下を参考にしてください。財産分与
この判決は、裏を返せば、定年間近であり、かつ、受給が確実で受給額が明確な場合などは、財産分与の対象となるとも理解できます。
そのため、すでに受給している場合や、まだ受給はしていなくても、満期までかけ金を支払い終えており、受給とその額が確定しているような場合は、財産分与の対象となるでしょう。
例えば、
確定した受給額が1000万円、婚姻期間(同居期間)が15年で加入期間が30年だった場合、財産分与の対象は婚姻中(同居期間中)の部分に限定されますので
1000万円×15/30=500万円
500万円が財産分与の対象ということになります。
一方で、まだ掛金の積立途中であるなどして、受給とその額が確定していない場合は、財産分与の対象となるのか、なったとしてもいくらになるのかについて、複雑な問題となります。これは、確定拠出年金が運用によって受給額が変わるという特性を持っているからです。
そのため、まだ確定していない状況でも、積立期間が長く、受給の蓋然性がたかければ、財産に参入することになりますし、まだ積立を始めたばかりということであれば、財産分与の対象に入れることが難しいケースもあるかと思います。
(2)iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の場合
個人型確定拠出年金の場合、その掛け金が退職金の前払い的な性格を有するとはいえないため、財産分与の対象になるかどうかについては、見解が分かれているのが実情です。
ただ、掛け金を自ら拠出して貯蓄に近いという性質上、その掛け金を婚姻期間中に得た財産から支払っていたような場合であれば、貯蓄と同様財産分与の対象になると考えられます。
以上、企業型DC(企業型確定拠出年金)の場合とiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の場合に分けて考えましたが、いずれにせよ、当事者間で合意が出来れば財産分与は可能ということになります。
後悔しない離婚のために、女性行政書士が親切丁寧な対応をさせていただきます。
東京 神奈川(横浜) 千葉 埼玉 東横線沿線を中心に離婚協議書の作成をさせていただきます。
公正証書の作成もお手伝いさせていただきます。
基本的に、結婚前から持っている財産は、財産分与の対象になりません。
財産分与というのは婚姻中に協力して形成した財産を離婚時に清算するという趣旨で行われますので、対象となるのは婚姻中に増えた財産です。
婚姻中に各人が得る給与や賞与、事業所得、それを元手に取得する不動産、自動車、有価証券等は、配偶者の貢献があって得られるものですので、潜在的に配偶者の持ち分が認められます。これを離婚時に清算することになります。
これに対し、婚姻前の財産というのは配偶者の貢献があるとは言えませんので、財産分与の対象にならないのです。
しかしながら、例外的に結婚前から持っている財産が財産分与の対象になる場合もあります。
例えば、結婚前に会社を設立していたとして、この自社株については原則特有財産になり、財産分与の対象にはなりません。
しかし、結婚後会社が成長して株式の価格が大幅に上昇したとします。
配偶者が会社の経営を手伝うなどして会社の成長に寄与が認められれば、この自社株が財産分与の対象になる場合があります。
会社の維持、発展に対する配偶者の寄与の判断については難しい問題ですが、裁判では、パーティへの同伴出席といった内助の範囲では貢献は認められないとされています。
結婚前から持っている財産から得た利益も同じです。
仮に夫婦の一方が結婚前から持っている不動産を結婚後売却したとします。
この際不動産が購入したときより大きく値上がりし、売却益が出たとします。
この売却益も特有財産になり、財産分与の対象にならないというのが原則です。
ただし、仮に結婚後この不動産の維持管理を配偶者がしていたなどの事情があれば売却益に配偶者の持分が認められる可能性もございます。
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夫婦間に時効はある?
離婚することになったのですが、10年以上前に夫に200万円を貸しています。
夫に請求したところ、もう時効が成立しているから返す必要はないと言われました。
夫に貸した200万円は本当に返してもらえないのでしょうか?
このように、夫婦間でお金の貸し借りをすることもあるのではないでしょうか。
通常お金を貸した場合、その貸金債権は5年で時効となります(民法166条1項
ただし、2020年3月31日以前に成立した債権については10年です)。
夫婦間でお金の貸し借りをした場合にも基本的にはこのルールが適用されることになります。
このケースですと、2020年3月31日までに貸したのであれば10年で時効が成立します。10年以上前に貸したとのことなので、時効が成立しているとも思われます。
しかしながら、夫婦間ではお金の催促をしづらいということもあり、例外規定として民法159条が設けられています。
民法第159条
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
以上を踏まえると、10年以上前に貸したお金でもまだ時効は完成しておらず、離婚成立後6か月以内に請求し、しかるべき手続きをとれば返してもらえるということになります。
同じように、不貞行為の場合はどうでしょう。
この度離婚することになりました。
10年前に夫に不貞行為がありましたが、子どもがまだ小さかったこともあり、離婚は踏み止まって修復に努めることにしました。
それから10年経ちましたが、親の介護の問題で離婚することになりました。
夫に10年前の不貞行為について慰謝料の支払を求めましたが、もう時効だから払う必要はないと言われました。本当に請求できないのでしょうか。
この場合は、不貞行為に係る慰謝料請求権の時効は、行為と相手方を知ってから3年もしくは不法行為の時から20年です(民法724条)。
10年前の不貞行為であれば、その不貞を妻が知っていた場合、時効が成立しているようにも思えます。
しかしながら、先ほど同様民法159条がありますので、婚姻関係が続いている限り時効で消滅することはありません。婚姻解消の時から6か月経過するまでは時効は完成しないということになります。
その為、離婚協議書で慰謝料の支払について取り決めるか、
離婚成立から6か月以内に請求の上、しかるべき手続きをとるとよろしいでしょう。
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養育費の支払終期 民法改正による成年年齢引き下げの影響は?
2022年4月1日から民法が改正され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
これにより、18歳に達すれば、親の同意なく一人で契約できるようになり、また、父母の親権に服する必要がなくなりました。
では、この成年年齢が引き下げられたことにより、養育費の支払終期にも影響があるのでしょうか。
養育費というのは、未成熟な子どもが経済的に自立した社会人として成長するまでに要するすべての費用、つまり、子の通常の衣食住の費用、教育費、医療費、適度の交際費をいいます。
これまで養育費の支払に関する裁判では、「20歳までは未成熟」「20歳以上は成熟」として養育費の支払義務を20歳までとされることが多く、当方等が作成する離婚協議書においてもそれに倣って養育費の支払終期は「子が成年に達するまで」や「子が満20歳に達するまで」と取り決めることが多くありました。
(あくまで原則であり、父母の合意でそれ以外の取り決めも可能)
では、この民法改正による成年年齢引き下げにより、養育費の支払終期も「子が満18歳に達するまで」となるのでしょうか。
確かに、成年年齢引き下げに連動して養育費の支払終期も下げられるように思いますが、先述のように養育費というのは未成熟な子どもが経済的に自立した社会人として成長するまでに要するすべての費用です。
養育費の対象になるのは「未成熟」な子どもであって「未成年」ではありません。
たとえ未成年であっても、就職して自ら収入を得るようになれば経済的に自立した社会人として未成熟とは言えません。そうなると養育費は必要なくなります。また、成年に達していても、大学に進学して十分な収入がない状態であれば未成熟と言えるでしょう。そうなりますと、たとえ20歳を超えていても養育費が必要なケースもあります。
未成熟=未成年ではないのです。
ですので、成年年齢が18歳に引き下げられたからといって、当然に養育費の支払終期まで18歳に引き下げられるということにはなりません。
ただ、成年年齢が引き下げられたことも相まって、養育費の支払終期を巡っては疑義が生じることも予想されます。
離婚協議書を作成する際は、子がどの段階で経済的に自立するのか、大学に進学するのか、しないのか、色々な場合を想定の上協議することになります。取り決める際は、大学に進学の場合、大学に進学しない場合、就職した場合等、ケースごとに分けて具体的に取り決め、将来疑義が生じることがないようにすることが大切です。
財布が別の共働き夫婦~財産分与はどうなる?
共働き夫婦が増えてきて、財布が別々のカップルも多いかと思います。
住居費や水道光熱費は夫の負担、食費や教育費は妻の負担。残りは各自自由に使用し、相手がどのくらい稼いでいるか知らない、なんて夫婦も多くいるのではないでしょうか。
このような夫婦の場合、財産分与はどうなるのでしょうか。
財産分与は、婚姻中に協力して形成した財産を2分の1で清算するというのが原則ですが、お財布別のカップルの場合であっても、基本的には分与割合は2分の1です。
これは、婚姻中の各人の収入は、他方の貢献があって得られるものと考えられるからです。たとえ財布は別であったとしても、この基本的な考え方に変わりはありません。
ただ、財布が別で、相手にどのくらいの収入があるのか、婚姻中にどの程度の財産が増えたのか、財産分与の対象となる財産がどのくらいあるのか、これがわからないと公平な(適切な)財産分与はできません。
ですので、公平な(適切な)財産分与を希望するのであれば、たとえお財布は別であっても、互いに相手の収入がどれくらいなのか、貯蓄がどのくらいなのか、日ごろから把握しておくことが肝要です。いざ、離婚となったときはすでに時遅しで相手は開示したがりません。
もちろん、財布も別、財産も別、だから財産分与しなくていい、と離婚時に夫婦が合意をすれば財産分与はしない、とすることも可能です。
1.離婚届の証人
離婚には、協議離婚、調停審判離婚、裁判離婚がありますが、現在、離婚をする夫婦の9割近くが協議離婚をしています。
その協議離婚をする場合、離婚届で用紙に必要事項を記入し、当事者双方が署名(押印は必要なくなっています)をすることになりますが、その他、証人2名の署名も必要になっています。
根拠条文は以下の民法です。
(婚姻の届出)
第739条 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
(婚姻の届出の受理)
第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
(婚姻の規定の準用)
第764条 第738条、第739条及び第747条の規定は、協議上の離婚について準用する。
では、この離婚届の証人は、何故必要なのでしょうか、また、どのような人がなるのでしょうか。誰でもいいのでしょうか。証人になることで何かデメリットがあるのでしょうか。
2.証人の必要性
何故離婚届には証人が必要なのでしょうか。
(1)冷静な判断を
この点、離婚というのは身分行為であり、法律上の身分関係に関する法律効果を発生させ、或いは変更、消滅させます。例えば、相続関係、扶養義務関係等において重大な変更をもたらします。
それ故、一時的な感情に流されるのではなく、慎重に検討した上での行動が望まれます。
そこで、第三者を関与させ、一度立ち止まって熟慮する機会を設けることで、当事者の離婚の意思を最終的に確認するのです。
(2)虚偽の離婚届出を防ぐため
離婚は双方の意思が合致していることが必要であり、片方だけの意思で離婚届を提出することは出来ません。相手に無断で作成された離婚届は無効です。
また、相手に無断で離婚届を作成し、これを提出することは犯罪にも該当します。
●離婚届の署名捺印を偽造した場合 私文書偽造罪」(刑法159条1項)
●その離婚届を役所に提出した場合 偽造私文書行使罪」(刑法161条1項)
公正証書原本不実記載等罪も(刑法157条1項)
そこで、証人2名の署名を求めることにより、離婚届が当事者双方の意思により作成されたものであることを担保するのです。
3.証人の要件
離婚届の証人は、特に要件はなく、条文上は「成年の」となっていますので、成人していれば誰でもなることが出来ます。
ですから18歳以上であればだれでもなることが可能であり、外国籍の方でも大丈夫です。
実際には、両親、兄弟、親戚、友人等になってもらうことが多いでしょうか。自分の子になってもらうことも可能です。
4.証人になることのデメリット(責任)
離婚届の証人は、上記のとおり、離婚の手続きを慎重に進めるため及び離婚届が当事者の意思により作成されたものであることを担保するために必要とされています。保証人や連帯保証人とは違いますので、特に何か義務が生じるということはありません。ですので、証人になったからと言って特に不利益が生じることはないと考えられます。
ただし、離婚届が当事者の意思により作成されたものであることを担保するという趣旨に鑑みると、当事者双方の離婚意思を確認しないまま安易に署名してしまうことは避けたいところです。
特に当事者の一方が偽装離婚や離婚届の偽造を企てているような場合で、証人がこの企てを知った上で署名をしますと、犯罪に加担したことになりかねません。そのような場合は何らかの責任が生じるかもしれませんので注意が必要です。
5.証人になってくれる人がいない場合
離婚届の証人は、ご両親や兄弟姉妹、親戚、友人等にお願いすることが多いですが、そのような人がいない場合やそのような人達に離婚を知られることを躊躇する場合もあろうかと思います。
そのような場合、証人代行サービスというものもあります。費用は様々ですが、数千円から依頼を受けているとこともあり、郵送でのやり取りで済むところもあるようです。
また、行政書士や弁護士でも証人になっているところもあります。当事務所でも受任することがございます。
当方ら行政書士は法律上の守秘義務を負っていますので、証人業務に関しても一切口外することはありませんので安心してご依頼いただけます。
ただし、離婚届が当事者の意思により作成されたものであることを担保するという趣旨に鑑みますと、当事務所がご依頼を受ける場合は、当事者双方と面談の上離婚の意思を確認の上署名させていただくことになります。
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1.養育費保証サービスとは
養育費保証サービスとは、離婚した元配偶者が養育費の支払いを怠った場合に、民間の保証会社が養育費を立て替えてくれるサービスのことをいいます。
保証会社は、養育費を立替えたのち、元配偶者に立て替え払いした額を請求していくことになります。
厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査によると、日本における離婚したひとり親家庭 (118万世帯)のうち、約7割(86万世帯)が養育費を受け取っていない状況にあります。養育費を十分に受け取れていないことが、ひとり親世帯の貧困の要因のひとつと考えられています。
このように、近年、養育費の未払いが社会問題となり、騒がれるようになったことで、養育費保証サービスも注目されるようになりました。なかには、地方自治体と連携して事業を行う会社もあり、自治体によっては保証料に補助金を出しているところもあるようです。
2.養育費保証サービスのメリット
養育費保証サービスのメリットは以下のとおりです。
(1)養育費の遅れを気にせず生活できる
元配偶者と養育費の支払いについて取り決めていたとしても、元配偶者が失業したり、収入が下がったりして途中から支払いが滞ってしまうリスクがあります。
この点、養育費保証サービスを利用していると、保証会社が代わりに養育費を支払ってくれるため、子どもにかかるお金が支払えず、すぐに困窮状態に陥る心配をせずに済みます。
ただし、保証金額には上限が設定されていることが多く、上限に達すると保証が終了しますので、養育費滞納の心配が完全になくなるわけではありません。
(2)元配偶者と連絡を取る必要がなくなる
離婚の理由が暴力やモラルハラスメントであった場合、離婚後元配偶者と連絡を取ることに抵抗を感じる方も多いはず。
この点、保証会社を利用すれば、元配偶者から養育費が支払われなくても、コンタクトを取らなければならないというプレッシャーから解放されることになります。
滞納が生じた場合に元配偶者に督促などをする必要がないのはもちろん、なかには、最初の養育費支払いから、保証会社が元配偶者から養育費を受領し、その養育費を送金してくれる、といった形式のサービスもあるようです。
(3)元配偶者に心理的プレッシャーを与えることができる
不払いになった場合、当事者以外の第三者からの催促を受けることになりますので、心理的プレッシャーを与えることができ、養育費の支払を促すことになります。
2.養育費保証サービスのデメリット
一方デメリットは以下のものがあります。
(1)保証料がかかる
養育費保証サービスを利用するためには、保証会社に支払う保証料が必要になってきます。保証料は初回に払う保証料と月々の保証料や更新時には更新料が発生することもあり、会社によって様々ですので事前に何社か確認の上比較して選ぶとよいでしょう。
また、保証料を誰がどのような形で負担するか、決める必要があります。
(2)支払人の収入等によっては審査に通らないことがある
養育費保証サービスを利用する際には、保証会社による審査が行われることが一般的ですが、支払人の収入や家計状況のほか、勤務先の業績などの状況によっては、審査に通らない可能性があります。
(3)保証期間、保証額に制限がある
養育費保証サービスには、最長1年、2年、3年等の保証期間があり、保証期間を過ぎると保証はされません。保証契約を更新する際に更新料が発生することもありますので、事前によく確かめてから利用する必要があります。
また、保証額には制限があります。保証会社による立替金が一定額に達すると、やはり強制解約となる場合が多いようです。
(4)倒産や解約のリスクがある
保証会社も民間の会社なので、契約期間中であっても倒産するリスクがあります。
そのため、自治体と連携している保証会社や、経営基盤がしっかりしている保証会社等比較的安全な会社を選ぶ必要がありそうです。
また、契約内容にもよりますが、契約が途中で解約されるリスクもありますので、契約時には契約書等の書類をよく読み、どのような場合には解約されるリスクがあるのか把握しておくことをおすすめします。
1.死後離婚ってなに?
最近話題の「死後離婚」。
丁度先日お客様との面談でこの話題が出たところ、朝のワイドショーでも「死後離婚」が取り上げられていました。
「死後離婚」というと、あたかも配偶者の死後に、自分と配偶者とを離婚させるものであるかのような印象を受けますが、実際はそうではありません。離婚というのは、夫婦がともに生存している間にしか行えないため、配偶者が亡くなってから自分と配偶者を離婚させることはできません。
「死後離婚」というのは、「姻族関係終了届」というものを役所に届出をすることにより、自分と亡くなった配偶者の血族との姻族関係を終了させることをいいます。
即ち、配偶者と婚姻すると、配偶者の父母や祖父母、兄弟姉妹などが姻族になり、法律上3親等内の姻族は親族と扱われます(民法725条3号)が、仮に、配偶者が亡くなったとしても、自分と亡くなった配偶者の血族との姻族関係は自動的に終了することはありません。
そこで、配偶者の血族との姻族関係を終了させるため、この「姻族関係終了届」を提出するのです。
先述のとおり、この「姻族関係終了届」を出しても、自分と亡くなった配偶者が離婚するわけではなく、戸籍や姓が変わることはありません。亡き配偶者との関係には影響を与えないため、亡くなった配偶者の財産はそのまま相続することができます。
また、姻族関係終了届を提出したとしても、遺族年金の条件を満たせば遺族年金を受給したり、これまでに受給していた遺族年金を引き続き受給することができます。
この「姻族関係終了届」は、配偶者の死亡後なら、提出期限はなく、いつでも提出できます。
2 「姻族関係終了届」届出の効果
では、「姻族関係終了届」で何が変わるのでしょうか。
(1)姻族関係の終了に伴い、扶養義務がなくなる
日本の民法においては、直系血族(父母、子、祖父母、孫など)と兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務が定められています(民法877条1項)。
姻族はこれに含まれないので、嫁と亡配偶者の親(舅・姑)の関係では、原則として扶養義務を負いません。しかしながら、特別な事情がある場合には、家庭裁判所は、3親等内の親族間でも扶養義務を生じさせることができるとされています(民法877条2項)。
そのため、姻族としての地位が残っていると、家庭裁判所の審判により扶養義務を課せられる可能性があるのです。
この点、「姻族関係終了届」を出せば、この義務がなくなります。
(2)同居による互助義務の消滅
民法では、直系血族および同居の親族は、互いに助け合わなければならないとされています(民法730条)。このため、配偶者の死亡後も配偶者の親族と同居している場合には、法律上の互助義務が発生します。
同居を解消することにより互助義務を解消できますが、事情により同居を解消できない場合には、姻族関係終了届によって、互助義務を消滅させることができます。
(3)祭祀承継者を免れる
祭祀というのは、系譜、祭具、墳墓などその家先祖代々受け継がれている祭祀財産を指し、これを承継する人を祭祀承継者といいます。
配偶者が死亡して祭祀承継者になってしまうと、その家のお墓や仏壇を管理したり、法事を主催したりするなどの手間が生じます。
この点、姻族関係終了届を出すと、配偶者の家族との親族関係は終了しますので、亡くなった配偶者の家族に祭祀承継者を引き継いでもらうことができるようになり、残された配偶者はこの祭祀承継者を免れることができるのです。
3 姻族関係終了届のメリット・デメリット
(1) メリット
姻族関係終了届を出す最大のメリットとしては、2の「姻族関係終了届」の効果で述べたとおり、扶養義務がなくなるなど、亡くなった配偶者の親族と縁を切ることができるという点にあります。配偶者の生前から関係が悪く、嫁・姑問題で頭を悩まされていたようなケースでは、届け出後は煩わしい関係でストレスを感じることは少なくなるでしょう。
(2) デメリット
亡くなった配偶者の親族に対する扶養義務がなくなる反面、こちら側も亡くなった配偶の親族を頼ることができなくなります。配偶者の生前から経済的支援を受けていた場合、届け出後はその支援が期待できなくなります。
また、亡くなった配偶者との間に子どもがいた場合、姻族関係終了届で亡き配偶者の親族と関係を解消できるのは自分だけであり、子ども達の縁が切れるわけではなく、子ども達にとっては祖父母や叔父叔母に当たる方たちであることに相違ありません。
子は祖父母の遺産を代襲相続する立場にありますが、姻族関係終了届を提出したことによって、祖父母(姑・舅)との感情の縺れが生じ、相続に影響をしかねません。また、愛情をかけてもらったり、面倒をみてもらったりする機会を失うかもしれません。
さらに、届け出後気まずくなり、亡くなった配偶者の法事等でその親族等と顔を合わせ辛くなる可能性もあります。
姻族関係終了届を一度提出してしまったら、取り消すことはできません。
提出する場合には慎重に検討する必要がありそうです。
離婚後随分経ってから財産分与が出来るか、とのお問合せをいただきます。
結論から申し上げますと、当事者の合意があれば出来る、ということになります。
たしかに、財産分与には期限が定められています。(※民法第768条第2項)。
そのため、財産分与請求をするなら離婚後2年以内に請求しなければなりません。
しかしながら、これは当事者間の協議が整わない場合に、家庭裁判所に対し協議に代わる処分を請求する期限が2年以内なのであって、当事者同士が合意で財産分与に関する合意をすることに期限はありません。
ですので、離婚後2年経過後に財産分与請求し、相手が拒否した場合には財産分与は認められませんが、相手がこれに応じ、財産分与について合意が出来れば財産分与は可能と解されています。
ただし、離婚後2年以上経過してから財産分与をすると、外形的には財産分与か贈与か区別がつきません。通常財産分与には課税はされませんが、税金逃れのために贈与を財産分与と偽っていると判断されてしまうと贈与税が課される可能性も否定はできません。
財産の移転が財産分与によるものであると証明できるよう、しっかりとした協議書(契約書)を作成するなどして対応することになりますが、最終的な判断をするのは税務署ということになります。
そのため、財産分与はなるべく離婚後2年以内に行うことをお勧め致します。
※民法第768条
1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
「監護及び教育に関する日常の行為」共同親権を導入する民法の改正案が、2024年5月17日の参院本会議で可決・成立しました。公布から2年後の2026年までに施行されるとのことです。
共同親権とは、未成年の子どもについて、父母双方が共同して親権を行使する制度です。
日本の現行法では、婚姻中は父母の共同親権※1となっていますが、離婚後の親権は、父または母のどちらか一方を指定するという「単独親権」※2に限られています。
この度の改正案では、現行法の「単独親権」に加えて「共同親権」も選択できるようになっています。共同親権にしなければならないわけではなく、選択できるということです。
父母の協議によって共同親権か単独親権かを決め、合意できない場合は家庭裁判所が判断します。裁判所がDV=ドメスティック・バイオレンスや子どもへの虐待があると認めた場合は単独親権となります。
これまで、離婚後は父母の一方の単独親権になるため、子の教育や財産の管理については親権者となった親が単独で決定することが出来ていましたが、共同親権になると、子どもの進学(学校の選択)や医療、転居などについて父母が話し合い決める必要があります。
ただし、監護及び教育に関する日常行為や、差し迫った事情がある時は、一方の親だけで親権が行使できることも明記されています。
改正法施行後に離婚する夫婦のみならず、施行前に離婚し、単独親権となっている場合も、共同親権への変更申立が可能となります。
共同親権の導入をめぐっては賛成、反対様々な声があがっています。
※1
民法818条3項 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。
ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは他の一方が行う。
※2
民法819条1項 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
今回改正法で導入される共同親権制度、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
1 共同親権のメリット
①離婚時の親権争いの激化やそれに伴う離婚紛争の長期化を防止できる
先述のとおり、現行法では、夫婦が離婚する場合で未成年の子どもがいるときは、親権者をどちらか一方に決めなければなりません。そのため、離婚することやその他の離婚条件(慰謝料や財産分与等)には合意できていても、どちらも親権を譲らないがために調停や裁判が長期化してしまうことがあります。
この点、共同親権が導入されれば、親権を巡る争いが回避されますので、離婚条件で争いがない場合には、早期に解決することが可能になります。
②子どもが両方の親と関わることができる。
これまでの単独親権下では、親が離婚すると、子どもは親権者となった親としか関われなくなり、非親権者の親とは疎遠になってしまうことが少なからずあります。
面会交流の制度はありますが、親権者となった親が「今の生活を乱さないでほしい」「子どもが会いたがらない」「再婚したから会わないで欲しい」などと言って面会を強く断ることもあります。このように、親権者が非親権者と子の面会交流に非協力的で、非親権者面会交流が行われない例も多くあります。
このように、離婚後、非親権者が子に全く会えないというケースが増えており、大きな問題になっていました。
この点、共同親権であれば両方の親に子どもを監護教育する権利があるので、同居の親権者が一方的に面会交流を断ることはできませんし、非親権者の親との面会の機会も増え、子どもは離婚後も双方の親からの愛情を感じることができ、子どもの精神的安定に繋がることになります。
③父母双方が協力して子育てに参加できる
これまでの単独親権下では、親権者となった親が子どもの養育の全てを担うというのがほとんどでした。そのため、養育していない非親権者は親としての意識が薄れるとともに、面会交流も不十分ななか、「会えないのになぜ養育費を支払う必要があるのか」と養育費の支払も滞ること繋がりました。
この点、共同親権では、離婚後も父と母の双方が子どもを育てる義務と責任を有しています。そのため、離婚後もお互いに協力して子育てを行うことができますので、どちらか一方に負担が偏ることはありません。
また、子どもと別々に暮らす非親権者であっても、定期的に子どもに関わることができますので、離婚後の面会交流に関するトラブルも少なくなるでしょう。
さらに、同居しない非親権者も子どもに定期的に関わることで、親としての意識が保たれ、養育費の支払も促進されることに繋がります。
2 共同親権のデメリット
①父母間で養育・教育方針に関して対立が生じ、意思決定が出来なくなり子の不利益になる
この点、単独親権では、子どもの養育や教育に関する事項については、親権者がすべて単独で決めることができますので、スムーズな意思決定が可能です。
しかしながら、共同親権では父と母の双方に親権がありますので、常にお互いが話し合って決めていかなければなりません。
そもそも、離婚する父母というのは、子の養育や教育に対する考え方や価値観の違いが原因であることが多いところ、離婚後も子の養育、教育において共同で意思決定をしなければならないとなると、父母の間で対立が生じ、子どもの進学や医療に関して合意が遅れ、子どもにとって反って不利益になる可能性があります。
②離婚後もDV、モラハラが続く可能性
DVやモラハラを理由に離婚する夫婦も多いところ、単独親権であれば、離婚をすればDVやモラハラをしていた配偶者から逃れることが可能です。
しかしながら、共同親権だと離婚後もDVやモラハラをしていた配偶者と子どものことに関して連絡を取り合わなければなりませんので、再びDVやモラハラの被害を受けるリスクが生じます。
③遠方への引っ越しが困難となる
共同親権の下では、父母双方が子どもを育てる義務と責任を負っていることになりますので、非親権者となった親とも積極的に会わせる必要があります。そうなると、離婚後も元の配偶者と近くに住む必要性が高くなります。再婚や仕事で遠方に行く必要があっても、元配偶者との関係でなかなか思う通りに決断できない可能性が出てきます。
今回の改正法可決後、様々なところから、改正法の問題点を指摘する声があがっています。
1.条文の不明確さ
改正法は、共同親権の下でも、「監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使」や「子の利益のため急迫の事情があるとき」は、単独で親権の行使ができるとしています。
しかしながら、「監護及び教育に関する日常の行為」についての具体例が示されていません。そのため、歯医者に通う、子どもにスマホを買い与える、習い事をするなどの様々な決定事項について、その都度他方の親権者に相談しなければいけないのかという疑問が生じることになります。
仮に子を監護する親がそれを「日常行為として」単独で決めたとしても、他方の親権者が「日常の行為」ではないと判断すれば法的紛争につながりかねず、子どもの福祉に反する事態となります。
また、何をもって「子の利益のため急迫の事情があるとき」に該当するのか、こちらも具体例が示されていません。
こちらも、仮に、急迫の事情があると単独で判断して親権の行使をしても、後日他方の親権者から妥当な判断ではなかったと訴えられる可能性もあります。
共同親権のデメリットでも述べた通り、そもそも、離婚する父母というのは、子の養育や教育に対する考え方や価値観の違いが原因であることが多いところ、不明確な条文だと、絶えず法的な紛争に発展する可能性をはらみ、親権の行使に委縮してしまい、結果的に子の福祉に反することになりかねません。
具体的に何が「日常の行為」「急迫の事情」該当するか周知するガイドラインが必要になってくると思われます。
2 体制の不備
現状では、離婚後共同親権導入に伴って発生する様々な諸問題を解決するだけの受入体制が、各地の家庭裁判所に備わっていないと思われます
現在、離婚を選択する夫婦の約9割は協議離婚しており、調停や裁判等、家庭裁判所を利用した離婚は1割程度と言われています。
約1割に過ぎなくても、家庭裁判所においては、調停室が確保できず調停期日が指定できない、裁判官や調停委員等の日程が合わないなどの理由で、次回の調停期日までに1カ月以上期間が開いてしまうという事態が日常的に生じているようです。
共同親権を導入した場合、親権行使に関し意見が対立した場合はその都度、家裁が親権を行使できる人を判断することになりますので、親権行使をめぐる法的紛争が確実に増加するものと思われます。また、共同親権を希望する父母の離婚に伴う法的紛争も確実に増加するでしょう。
これに改正法施行前に離婚した夫婦の共同親権への変更申立事案も加わることになりますので、キャパシティーオーバーになることは必至かと思われます。
家庭裁判所の受け入れ体制も同時に強化する必要がありそうです。
※保証人
保証人というのは、主債務者が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという人のことを言います。
また、連帯保証人というのは保証人の一種で、債権者にとっては保証人よりも連帯保証人の方が有利であり、保証契約の多くは連帯保証契約になっています。。
離婚して子どもを一人で育てていく予定だけど配偶者がちゃんと養育費を払ってくれるか心配です。義父や義母に連帯保証人になってもらうことは可能でしょうか?
というご相談があります。
たしかに、養育費の支払は長期に及ぶことが多いので、支払に不安を感じることも多いかと思います。何等かの保証があると安心しますね。
結論からいいますと、連帯保証人(保証人)になる人、つまり義父や義母が承諾すれば連帯保証人(保証人)になってもらうことも可能です。
この点、養育費支払義務も金銭債務であることに相違ありませんので、連帯保証人が代わりに実現できる性質のものです。
しかし、養育費の支払義務というのは、未成熟子に対する親の生活保持義務に基づくものですので、親以外にこの義務を負担させるのは適当ではなく、たとえ義父や義母であっても当然に連帯保証人になるよう要求できるわけではありません。
法的に支払義務があるのは、子どもの親である配偶者のみです。
また、裁判官や公証人の中にも、連帯保証人を付けることに難色を示されることもあるようです。(明確に禁止されているわけではありません)
したがって、義父や義母に権利として求められるものではありませんが、義父や義母が納得し、応じてくれるのであれば可能ということになります。
ただし、連帯保証人になってもらう場合は注意が必要です。
まず、このような保証契約は書面で行う必要があるとされています(民法446条2項)。
そのため、連帯保証人(保証人)の了承を得られた場合には、あなたと連帯保証人(保証人)との間で、連帯保証契約を書面で締結する必要があります。
また、民法の改正により、2020年4月1日以降、個人根保証契約については、極度額(限度額)を定めなければならなくなりました。(民法465条の2第2項)
養育費の連帯保証については、個人根保証契約にあたると考える説もあるため、極度額(限度額)を定めておくとよろしいでしょう。
養育費の支払に連帯保証人を付けたい場合はご相談ください。
※保証人
保証人というのは、主債務者が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという人のことを言います。
また、連帯保証人というのは保証人の一種で、債権者にとっては保証人よりも連帯保証人の方が有利であり、保証契約の多くは連帯保証契約になっています。
離婚したけど養育費は一度も支払ってもらったことがない。
一応決めたけど、支払われたり、支払われなかったり…
最初は払われていたけど最近はストップしている…
という方も多いのではないでしょうか。
そのうち払ってもらえるだろうからと放置している方もいらっしゃるでしょう。
しかし、養育費は請求せず一定期間放置しておくと時効により消滅してしまう可能性があります。
養育費というのはいつまで請求できるのでしょうか?
結論から言いますと、
養育費債権の消滅時効は5年です。(すでに発生した養育費債権です)
養育費というのは毎月定期的に支払われるものです。
このように定期的に支払われる債権のことを定期金債権といいます。
昨年(2020年)民法が改正されましたが、改正される前は、このような定期金債権の時効は「5年間の短期消滅時効にかかる債権」(旧民法169条)として定められていたので、養育費の時効も5年でした。
改正法では「債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき」に時効消滅するとされ、様々な短期消滅時効制度は廃止統一されました。ただ、養育費は元々5年だったので変更はありません。
養育費を取り決める場合、離婚協議書を交わしたり、公正証書を作成したり、裁判手続きで決めるなどの方法があります。
離婚協議書や公正証書を作成した場合、消滅時効は先に述べたとおり5年ですが、裁判手続きで定めたものについては別の定めがあり、10年となります。※
※新法169条
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。
ここまでは養育費の取り決めが行われていたケース、つまり、すでに発生している養育費債
権の話ですが、離婚時や離婚後になっても養育費の取り決めをしていない場合もあります。
では、取り決めなかった場合、過去の養育費はいつまで請求できるのでしょうか?
残念ながら、養育費は、具体的な取り決めをしていないと、過去分については認められないというのが裁判実務における一般的な考え方です。(ただし、判例があるわけではないので可能性が全くないわけではなさそうです)
つまり、請求した時点からの分しかもらえませんので、まだ請求していない方は早急に請求の手続きをとる必要があります。
養育費の代わりに住宅ローンを支払ってもらうようにしたいのですが、というご相談があります。
離婚後、夫名義の住宅に妻と子どもが住み続けることを前提とし、住宅ローンを養育費の代わりに支払ってもらうようにしたいということです。
この点、お互いが納得していれば、養育費の代わりに住宅ローンを支払う取り決めもできます。
しかし、養育費に代えて住宅ローンを支払ってもらう場合、注意が必要です。
〇住宅ローン約款との関係
まず、住宅ローンを借りている金融機関等との関係で問題があります。
金融機関としては、住宅ローンの名義人である夫が自宅に住み続けることを前提として貸し付けています。
そのため、住宅ローン約款の多くは、住居移転等の場合に連絡・承諾を求めるという条項が入っているかと思います。
仮に金融機関に告げず、承諾を得ないまま進めても、金融機関側も、ローンさえ支払ってくれれば、特に問題にはしないというスタンスのところもありますが、こればかりは金融機関独自の判断になりますので大丈夫とは言えません。
やはり、このような場合は事前に金融機関の担当者に事情を説明して確認した上で進める必要があります。
〇不払いになる可能性
元夫が住宅ローンの支払を怠る可能性もあります。
元夫としては、自らが住めない住宅のローンを払い続ける必要があるわけです。
ましてや、離婚後子ども達と会えない状況が続くということになれば、支払の意欲は減退する可能性もあります。
そうなりますと、不払→強制執行→母と子は退去せざるを得ない事態にもなり得ます。
このような場合に備え、口約束ではなく、離婚協議書の中で住宅ローンを支払う旨確約してもらい、違反した場合のペナルティを付しておくことも考えられます。
〇売却されてしまう可能性
前の項と同じような理由で、不動産を売却されてしまう可能性もあります。
元夫の単独名義なので、売却も可能なのです。
先述のとおり、このような場合に備え、離婚協議書の中で売却禁止を明記し、ペナルティを
付しておくことも考えられます。
上記のように、養育費代わりに住宅ローンを支払ってもらうことは、諸々問題を含むので注意が必要ですが、仮にそのような方法を選択するにしても、口約束ではなく、しっかりと離婚協議書等書面に残しておく必要がありそうです。
夫婦には同居・協力・扶助義務というのがあります(民法752条)。
「遺棄」というのは、正当な理由なく同居を拒否し、この義務を履行しないことをいいます。
また、「悪意」というのは夫婦共同生活を壊してしまおうとする積極的な意図、若しくはこれを認容する意思のことをいいます。
つまり、「悪意の遺棄」というのは積極的に夫婦共同生活を壊す意図を以て相手を置き去りにして家を出てしまい、生活費も入れない行為や、相手方を自宅から追い出すだけでなく相手が出ざるを得ないように仕向け復帰を拒むことも含まれます。
裁判例上で悪意の遺棄とされる典型的な事例として、夫が家を飛び出して、身体障害者の妻を自宅に置き去りにし、長期に亘り全く生活費を送金しなかった事案があります。
また、夫が出発予定や行き先も告げず、以後の生活方針についても何ら相談することなく、妻と3人の子供をおいて独断で上京に踏み切った事案においても、裁判所は「敢えて夫婦、家族としての共同生活を放棄した」として悪意の遺棄を認定しています。
さらに、夫婦が外形上は同居していても、配偶者らしい扱いをしていなければ(性交拒否、精神的遺棄)遺棄に当たるとする見解もあります。
その他、婚姻費用分担義務(民法760条)に違反する場合も遺棄に該当するとする見解もあります。
悪意の遺棄は、法定の離婚原因(民法770条第1項第2号)とまります。
相手方に悪意の遺棄があれば離婚請求が認められます。
2.同居義務違反とその正当理由
1で述べたとおり、夫婦には同居・協力・扶助義務というのがあります(民法752条)。
同居を拒否しこの義務を履行しなかった配偶者は、正当な理由がない限り「悪意の遺棄」をしたことになり、婚姻関係破綻の主たる原因を作ったとして、当該配偶者(有責配偶者)からの離婚請求がみとめられづらくなったり、他方の配偶者から慰謝料の請求をされる可能性があります。
しかしながら、上記同居義務違反は、単に同居していない状況すべてをいうのではなく、正当な理由がない、不当な同居義務違反に限られます。
したがって、同居義務に違反するような場合でも、正当な理由があれば同居義務違反とはならず、「悪意の遺棄」にはあたらないということになります。例えば、夫が単身赴任するような場合や、病気や子供の学校の都合で一時的に離れて暮らす場合、その他夫婦が冷却期間を置くためやむを得ず当分の間別居するような場合も同居義務違反ということはいえないでしょう。
子ども名義の預金や学資保険などの財産は、離婚の際の財産分与の対象になるのでしょうか。
基本的に当事者間の協議が整えば、どのように分与しても構いません。
子どものために使用することを前提として、子どもを引き取る方が取得するというのでもよろしいでしょう。
では夫婦間で揉めた場合はどのように考えればよいのでしょう。
この場合、個別の事情により判断されることになり画一的な基準はありません。
ただ、財産分与の対象となるのは、主に夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産です。
子ども名義の預貯金や学資保険が、協力して形成した財産として財産分与の対象になるか否かは、その預貯金、学資保険の掛け金の出所に依ることになりますでしょうか。
この子どもの貯蓄や学資保険の掛け金が家計から拠出されていたのであれば、夫婦で協力して形成した財産ということになり、財産分与の対象ということになると考えられますし、一方、子ども自身がもらったお年玉やお祝金から貯蓄されたものであれば、子ども自身の財産と判断され、財産分与の対象にならないと考えられます。
以下財産分与に関し参考になる裁判例をご紹介します。
東京高等裁判所平成7年4月27日判決ですが、以下のように述べています。
「婚姻期間中に得られた収入等により夫婦のいずれかの名義又は子供名義で取得した財産は、夫婦の共有財産に当たるもので、財産分与の対象となることは明らかである。
婚姻中に取得した個々の財産が各配偶者の特有財産であるか、それとも夫婦の共有財産に該当するかを判断するに当たっては、取得の際の原資、取得した財産の維持管理の貢献度等を考慮して判断しなければならないが、特段の事情が認められない場合には、夫婦の共有財産に属するものとして、財産分与の対象となるものと言わねばならない。」
上記から、子ども名義の預金についても財産分与の対象になるかどうかは、お金の出所がポイントになります。
自分や配偶者の給料などを子ども名義で貯金している場合は、夫婦の共有財産と考えられるため、財産分与の対象になると考えられます。
この度性格の不一致により離婚することになりました。
離婚を申し入れたのは自分です。
妻からは慰謝料を要求されています。
性格の不一致という理由で離婚する場合でも、慰謝料を払う必要があるのでしょうか。
性格の不一致で離婚する場合等や特にどちらにも離婚原因がない事例では、基本的に慰謝料が発生しません。
ですので、本件のように性格の不一致で離婚に至る場合、特にどちらかに落ち度があるわけではありませんので、慰謝料を支払う義務はないものと思われます。
ただ、一方は離婚を望んでいるけど、もう一方は望んでいない場合、慰謝料を支払って離婚に同意してもらうということもあります。
このように、性格の不一致でも、離婚を進める交渉の過程で慰謝料を支払うこともありますが、通常は支払う必要はないでしょう。
現在離婚を考えています。
夫は5歳の息子を母親である私が育てることに異存はないけれど、俺は長男だから息子の親権だけは譲れないと主張しています。
親権は父親のままで、私が育てるということはできるのでしょうか。
結論からいいますと不可能ではありません。
父親が親権を持ちつつ、母親が育てることもできます。
親権は大きく分けて以下二つに分かれます。
〇身上監護権…未成年の子に社会人としての社会性を身につけさせるため、身体的に監督・保護し、また、精神的発達を図るため配慮すること。
具体的には
①居所指定権
②懲戒権(躾、教育)
③職業許可権、
④身分上の行為(15歳未満の子の氏の変更、養子縁組又は離縁の代諾、離縁の訴え・相続の承認・放棄)
〇財産管理権…未成年の子が財産を有するときに、その財産を管理し、その財産上の法律行為につき子を代理し、同意を与える権利。
監護権は親権の一部なので、通常、親権者となった者が親権に基づき未成年の子を監護養育することになります。
しかしながら、父母双方が親権に固執しているなど、折衷案として例外的に親権から監護権を分けることがあるのです。
母親としては、親権を巡り父親と争い、親権自体を失ったり、離婚できなくなるより、たとえ親権はなくても、子供と生活できれば十分であると考え、監護権のみで妥協することもあるようです。
通常監護親の権限の範囲は前記①②③を含むとされています。
しかしながら、権限を分ける場合、不都合なこともあります。
例えば、母親だけでは各種手当の受給ができないことがあり、父親の協力が必要になります。
また、交通事故の示談等にも親権者の協力が必要になり、離婚後も父親と頻繁なやり取りが必要となることが想定されます。
離婚後も父母が円満な関係を維持できていればさほど問題ではないかもしれませんが、離婚を巡る確執が激しかったような場合、離婚後はできればあまり交流を持ちたくないと考えるかもしれません。
このようなやり取りを避けたいのであれば、親権と監護権は分属させないほうがいいかもしれません。
よく養育費の一括支払いはできますかというご質問もあります。
結論からいいますと、できないことはないけれど、色々注意が必要です。
たしかに養育費は、一括でもらえれば、支払いが滞る心配もなく、受け取る方としては大変心強いものです。
実際、離婚時は払うと約束しても、その後色々理由をこじ付け払われなくなるケースも多いと聞きます。
しかしながら、養育費の支払は毎月払いが原則となっています。
これは、養育費が子供の日々の生活費だからであり、その支払い義務はその都度発生するものですから、当然にまとめて請求できるものではありません。
当事者の合意があれば一括支払の約束も可能ではありますが、将来の分まで支払うとなるとかなり高額になってきます。まずは支払う側に支払能力があり、一括払いを了承している必要ということになります。
また、この高額な金銭を受け取る側が計画性をもって子供のために使用できれば良いのですが、自分のために費消するケースも少なからず出てきます。
そういった場合、成人を前に子どもが困窮してしまう事態にもなりかねません。
このような事態を回避するため、信託銀行等に預ける等して、計画的に支払われるよう工夫する必要がありそうです。
さらに、もう一つ気を付けないといけないのは贈与税の課税問題です。
通常養育費というのは、親の扶養義務を履行するものであり、その額が通常必要と認められる範囲であれば贈与税は賦課されません。*
*国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
ただ、先ほども申し上げた通り、養育費は毎月払いが原則です。
支払義務が発生していない将来の分まで受け取るとなると、毎月の必要額を超えていると認定されかねず、贈与税が賦課される可能性を否定できません。
一括払いにするのであれば、後日子の養育に使用したことを証明できるよう、領収書等しっかり保存の上整理しておいた方がよさそうです。
養育費について、ご心配なことがあれば、まずはご相談ください。
養育費はいつまでもらえるのか、というご相談を頂きます。
親は独立して生活を営むことができない「未成熟子」に対し扶養義務を負うとされています。この「未成熟子」というは一般に成年に達しない子とされています。
上記から考えると養育費は原則20歳までもらえるということになります。
ただ、子が大学等に進学しており、成人していても独立した生計を営んでいないような場合には、20歳を超えていても「未成熟子」として親の扶養義務が認められる場合があります。
以下、参考になる裁判例をご紹介します。
この事案は、妻から夫に対して離婚を求めるとともに、3人の子の親権、養育費、財産分与等が求められたものでしたが、以下のように述べて養育費支払義務の終期を22歳までとしました。
「養育費支払義務は、一般には子が成人に達した段階で消滅するのが原則と考えられる。しかし、その一方で、4年生大学への進学率が相当高い割合に達している現状において、子が大学へ進学する場合、学費や生活費に不足を生じることはやむを得ないことと言うべきである。本件においては、非監護親は、監護親の収入を十分に承知したうえで、子が大学を卒業することを強く望んでいる旨を明確に述べているから、子の大学進学に関する費用を自らが負担する旨の認識を示したものと判断することができる。
また、もし、将来子が大学に進学しなかった場合には、そのことが明らかになった段階で、家庭裁判所に養育費減額等の申し立て等を行うことにより不合理な結論を避けることは十分に可能である。よって、本件においては、子供らが成年に達した後においても、4年制大学の卒業が予定される満22歳時までは、養育費支払義務が継続されるべき格別の事情が存在するものと認められ、夫が支払うべき養育費の終期は子供らが満22歳に達するまでと定めるのが相当である。」と判断しました。
東京地方裁判所平成17年4月15日
上記は、支払義務者(父親)も子の大学進学を望んでいる場合ですので全ての事案に当てはまるわけではありません。
では、支払義務者が大学進学に同意していなかった場合はどうでしょう。
以下、この件に関し参考になる裁判例をご紹介します。
この事案は、成年に達した子が自ら親に対し大学在学中の扶養料を求めたものです。
「抗告人(子)の大学進学は相手方である父の同意を得たものではなく、一般に成年に達した子の大学教育の費用を親が負担すべきであるとまでは言えないが、4年生大学への進学率が高まってきており、相手方の学歴や抗告人の学業成績からすれば、抗告人の4年生大学進学は予想されていたこと、抗告人及び同居親である母の収入だけでは抗告人が大学で学業を続けながら生計を維持することは困難であること、相手方は今後とも一定程度の収入を得ることが見込まれること、相手方が話し合いによるものであれば一定額の支払に応じると述べているなどの一切の事情を考慮すれば、相手方に対し、抗告人の学校関係費用、生活費等の不足額の一部を、原告が大学を卒業すると見込まれる月まで、扶養料として支払うよう命じるのが相当である。」と判断しています。
東京高等裁判所平成22年7月30日
(家庭裁判月報)
ただ、上記裁判例は、抗告人(子)が大学卒業まで毎月15万円の支払いを求めたのに対し毎月3万円の支払いを命じたに止まり、これは父親が支払に応じると述べていた額でした。
支払は命じたものの、足りない分を補填する程度にとどまっています。
養育費をいつまで支払うかについては、当事者間で合意さえできれば基本自由であり、大学卒業まででも、大学院進学の場合は大学院卒業までと取り決めることもできます。
離婚時にしっかり話し合って大学卒業まで支払ってもらいたいものです。
養育費について、ご心配なことがあれば、まずはご相談ください。
私は、子供の親権者となって離婚し、現在元夫から養育費をもらっていますが、この度再婚することになりました。私が再婚したら子どもの養育費はもらえなくなるのでしょうか?
というご相談があります。
結論からいいますと、養育費が減額、若しくは免除になる可能性はあります。
しかしながら、再婚したからといって必ずしも養育費がもらえなくなるわけではありません。
子どもを連れて親が再婚しても、当然に再婚相手とお子様の間に親子関係が生じるわけではなく、お子様と相手が養子縁組をしてはじめて親子関係が生じます。
なので再婚相手とお子様が養子縁組しない場合は、再婚相手に子の扶養義務はなく、そのまま元夫(実親)が子に対し一次的な扶養義務を負うことになり、養育費をそのままもらえることになります。
養子縁組をして親子関係が生じると、養親は子に扶養義務を負うことになります。
この場合でも実親の子に対する扶養義務が当然になくなるわけではありませんが、子に対し一次的に扶養義務を負うのは養親となり、実親は二次的な扶養義務を負うにすぎないと解されています。
ただ実親は、子が養子縁組をしたからといって勝手に養育費の支払いを打ち切っていいわけではなく、ちゃんと協議のうえ減額で合意するか、若しくは調停を申し立て、裁判所の判断を経てなくてはなりません。
元夫が養育費減額の調停を申し立てますと、養育費が減額若しくは免除される可能性が高いということになります。
子連れ再婚しましたが、この度その再婚相手とも離婚することになりました。
子どもと再婚相手は養子縁組しています。
この場合、離婚後養親(再婚相手)から養育費は貰えるのでしょうか?
結論から申し上げますと、養子縁組が継続している間は貰えることになります。
前記事で再婚相手と子が養子縁組した場合、一次的に扶養義務を負うのは養親だとお伝えしました。
この義務は法律上の親子関係がある限り継続します。
なので、この法律上の親子関係が解消されない限り貰えることになります。
ただ、婚姻に伴い養子縁組したのですから、離婚するのであれば父母の協議で解消することが多いでしょうか。
相手が応じない場合は調停を申し立てることになります。
養子縁組を継続することについてはメリット、デメリットがあります。
メリットとしては、先述のように養育費を貰えることが挙げられます。
また、養親に財産があれば、その養親の財産を相続することができます。
一方デメリットとしては、仮に子が先に亡くなった場合、子に配偶者や子がいなければ養親が相続権を持つことになります。
また、将来養親が生活に困窮する事態が生じたとき、扶養請求される可能性もあります。
養子縁組の解消か継続か、慎重に検討する必要がありそうです。
離婚して、子供は母親が引き取ることになったのですが、夫には多額の借金があり、生活が苦しいから養育費は支払えない言われています。
というご相談を受けることがあります。
上記のようなケースの場合、養育費を支払わなくてよいのでしょうか?
親権者とならなくても、親であることに変わりなく、子供に対して扶養義務を負うことになりますので、養育費を支払わなくてはなりません。
養育費支払義務は「生活保持義務」と言われ、親は、自分の生活を保持するのと同程度の生活を子供に保持させる義務があります。
親に余力があるときに扶養すればいいという「生活扶助義務」とは異なるのです。
なので、単に借金がある、収入が低いという理由から養育費の支払いを免れることはできません。
現に自分の生活が維持出来ている以上、自らの生活を削ってでも子にも同等の生活を保障しなくてはなりません。
また、無職の場合でも潜在的稼働能力があるとして収入が認定されることもあります。
したがって、多額の借金があっても自らの生活が維持されて、借金の返済もできているようであれば、子どもの扶養義務を免れる余地はなく、養育費の支払いを拒むことはできません。
単に借金があって生活が苦しい状況でも、あきらめないで交渉するとよろしいでしょう。
離婚という話になったとき、居住用の不動産の処遇について問題になることが多いですね。
買った時より価値が上昇していて、売却のうえ住宅ローンを返しても利益が出るケースではスムーズに財産分与の話も進むでしょうが、長い不況の後ですし、また購入して間もない場合等にはなかなかプラスにはならず、売却してローンを返してもなお負債を抱えることも多いかと思います(オーバーローン)。
このような場合によくご質問をいただくのは、このマイナス財産も財産分与の対象になるのか否かということです。
不動産以外に預貯金等財産があれば、その預貯金等を負債に充当することになりますでしょうか。
それでもなお、負債が残るような場合はどうでしょう。
基本的な考え方としては、財産分与の対象はプラスの財産のみということになります。
なので、ローンの名義人がご主人様であれば、ご主人様が単独で返す義務を負うことになり、マイナス分まで財産分与されるわけではありません。
裁判官やケースにもよりますが裁判実務では上記のような取り扱いが多いようですが、公平という観点からするとマイナスの財産も平等に分けるのが筋という気もします。
ただ、母親が子どもを引き取って離婚するような場合は、離婚後の母子の生活を考慮して夫がすべて引き受けるというのが妥当な考え方かもしれません。
この辺りは夫婦の協議次第ということになりますでしょうか。
もっとも、この住宅ローンについては奥様も連帯債務者になっているケースもあるかと思います。
この場合は連帯債務の負担割合のとおり金融機関に対して返済義務を負いますので、結果としてマイナスの財産も財産分与したのと同様の結果になりますでしょうか。
心配なことがあれば、まずはご相談ください。
離婚協議書作成をご依頼された際に
「へそくりは財産分与の対象になるのでしょうか。」
というご質問をいただきます。
財産分与というのは、夫婦で協力して形成した財産を離婚に際して清算することをいいます。
日本は夫婦別産制(民法762条)をとっているので、婚姻前から有している財産や、婚姻後であっても相続や贈与等、自己の名前で得た財産はその名義人の特有財産になります。
これらは夫婦で協力して形成した財産とはいえず財産分与の対象にはなりません。
ですのでへそくりが財産分与の対象となるか否かはへそくりの出処から検討していくことになります。
このへそくりが、結婚前から貯めていたお金だったり、結婚後であっても親からもらったお金等であればその本人の特有財産ということになり、財産分与の対象とはならないでしょう。
一方このへそくりが夫(又は妻)の給与から貯めたものであればどうでしょう。
夫の収入は夫が個人の名前で得たものでも一度家計に入れば夫婦の共有ということになります。
妻がこの夫の収入からへそくりをしていたのであれば、このへそくりは夫婦の共有財産ということになり、離婚する際に財産分与の対象になることになります。
もっともこのへそくり、タイミングよく発見できればよいのですが、隠されてしまうと結構厄介で、容易に発見できるものではありません。
弁護士に依頼すれば弁護士照会で口座の調査もできると聞きますが、銀行名、支店名まで判明していないとなかなか難しいようです。
へそくりの口座が自宅最寄りの銀行にあればいいのですが、縁もゆかりもない場所で作られていたら探すのはかなり困難です。
このような場合は日頃銀行から送られてくる郵便物を頼りに探すこともあるようです。
離婚が頭を過ぎったら予め調べておいたほうがよさそうです。
勝手に離婚届を出されるのを防ぐ方法として、離婚届不受理申出書というものがあります。
離婚届の不受理申出というのは、離婚する意思がないのに勝手に離婚届を提出されそうな場合や、一旦離婚届に署名押印したが、その後、離婚の意思が変わってしまった場合等に、離婚届が役所に提出されても受理しないでほしいと申し入れる書面です。
協議離婚というのは、当事者双方が合意し、戸籍届出をして初めて法的効力が発生するものです。
本来当事者双方の合意が必要なので、一方当事者の意思を無視した届出は認められませんが、役所はいちいち当事者双方の意思をチェックしているわけではありませんので、形式的に整った届が提出されるとそのまま受理されてしまうことになります。
本来当事者双方に離婚の意思が必要なので、勝手に提出された離婚届による離婚は無効ということになりますが、ただ、無効として戸籍を訂正するためには、裁判をして判決を得なくてはなりません。
一度受理されてしまうと、その訂正はとても大変なものとなってしまいます。
このように勝手な離婚届提出を防止したい場合に利用するのが離婚届不受理申出書ということになります。
この不受理申出書は原則として申出人の本籍地の市区町村に提出することになります。
不受理申出書には特に書式等はなく、自筆の書面でも構いませんが、各市区町村には定形の用紙が備えられていますので、そちらを利用するとよろしいでしょう。
夫婦が離婚する場合、どちらか一人を子の親権者と決めなければなりません。(民法819条1項)
離婚届にも親権者を記載する欄があり、親権者が決められていないと受理されません。
この親権者、どのように決めるかといいますと、まずは当事者間の話し合いで決めることになります。
しかしながら、子の親権を争うケースは多く、話し合いで結論がでないときは、親権者指定の調停、審判という方法に頼らざるを得ません。
親権者を決める判断基準とし
て挙げられるのは、
○監護の継続性
○母親優先の基準
○子の意思の尊重
○兄弟姉妹の分離が妥当か
上記の他、経済的事情、居住教育環境、親族友人の援助環境等があります。
子との心理的結びつきを重視し、子を現に監護している者を優先する。
子の幼児期における生育には母親の愛情が不可欠である。
このような考えから、これまで離婚の際は子を実際に監護してきた母親に親権を認めるというのが主流であったように思います。
しかしながら、最近は家庭における父母の役割が変化しつつあることから、一律に母親が幼い子の養育に適しているとは言えないという考え方もあります。
また、つい最近ある裁判の判決が話題になりました。
5年以上に亘り別居している夫婦が、離婚の是非と娘の親権を争った裁判で、千葉地方裁判所松戸支部は、別居中の父親に親権を認め、母親に長女を引き渡すよう命じる判決を出したという記事が新聞各紙に掲載されたのです(平成28年3月29日付判決)。
この事案は、夫婦の別居の際に妻が夫に無断で娘を連れて行き、約5年間もの間ほとんど面会をさせてもらえなかった夫が、離婚の是非と娘の親権を巡って妻と争っていた事案です。
先に述べたとおり、従来親権者や養育者を法的に決定する際には、成育環境が変わるのは子供に不利益との考えから同居中の親を優先する「継続性の原則」や、母親が養育するのが望ましいとする「母親優先の原則」などが重要な要件とされてきましたが、この判決で、裁判官は「母親側の『長女を慣れ親しんだ環境から引き離すのは不当』とする主張は杞憂にすぎない」と述べました。
また、判決によると、夫は親権者となったら妻に対し娘と年間100日程度の面会を認め、約束を破った場合は親権変更の理由となることを提案、これに対し妻は月1回、2時間程度の監視付き面会しか認めないと主張していました。
裁判所は、突然妻が娘を連れて別居したことや5年間にわたり父親と面会させなかったことも考慮し、夫婦で長女の成長を支えるためには、より多くの面会日数を提案した夫の方が親権者にふさわしいと判断したようです。
上記のように、この判決は、同居中の親を優先する「継続性の原則」や「母親優先の原則」から、もう一方の親と子どもとの関係をより友好に保てる親を親権者とする考え方である「寛容性の原則」を重視したものといえます。
子供の親権は個々の事情にも依りますので、かならずしも今後、調停や審判がこの判決と同様な判断をするは限りません。
ただ、「継続性の原則」や「母親優先の原則」にとらわれることなく、何が子供の成長にとって望ましいか、という観点から判断した点において今後の参考になる判決かと思います。
協議離婚に際して親権、面会交流を定めるときは、何が子供のためになるのか、子の福祉を一番に考慮して決定していただきたいものです。
養育費月額5万円で協議離婚しました。
最初はちゃんと支払ってくれていたのですが、そのうちどんどん滞るようになってしまい、遂にストップしてしまいました。
このような場合、養育費を何とか支払わせるにはどうしたらいいでしょう。
まず、離婚の際に強制執行認諾条項付公正証書を作成し、その中で養育費の支払いを取り決めていた場合、この公正証書を基に相手の給与、財産に対し強制執行することができます。
強制執行には多少手続きを要しますが、比較的素早く回収できるでしょう。
ただし、相手に目ぼしい財産がない場合や、職に就いていない場合にはやはり回収は難しくなります。
一方、離婚の際に口頭で養育費の支払いを約束した、若しくは、公正証書以外の離婚協議書等書面でお約束していた場合、
①裁判所に対し、契約に基づく債務の履行請求の訴え提起をする
②家庭裁判所に対し、改めて養育費支払いの調停を申し立てて、養育費の支払義務を確定する
上記の方法によることが考えられます。
①の場合、勝訴の判決を得て、そのうえで相手の給与、財産に強制執行することになります。
②に場合、それでもなおかつ相手が不払いの場合、強制執行、履行勧告、履行命令等の手段を取ることが できます。
養育費は子供の日々の生活費であり、これが滞ると子供の生活に支障をきたし、とても困ったことになります。
上記のように裁判や、調停を経れば回収できることになりますが、調停はともかく裁判は費用もかかりますし、何より時間がかかってしまいます。
できれば離婚前に強制執行認諾条項付公正証書を作成されるとよろしいでしょう。
離婚の際に、養育費をもらわないことを条件に子供の親権をもらいました。
でも、離婚してみたらやはり生活は厳しく、養育費をもらわないと立ち行かなくなりました。
離婚の際に養育費を放棄しても、後日請求することはできるでしょうか。
結論からいいますと、このような約束をしていても、養育費の請求は可能です。
養育費というのは、子供が社会人として一人前に自立するまでに必要な費用です。
親は子供を扶養する義務があり、これは離婚して親権者にならなかった場合でも引き続き負うことになります。
裏を返せば、子供は親に扶養するよう求める権利があるということになります。
親権者は子供の法定代理人ですが、例え親権者である母親であっても、この子供の扶養請求権を勝手に放棄することはできません。(民法881条)
※民法881
扶養を受ける権利は、処分することができない。
したがって、一度養育費をもらわないという約束をしても、養育費は請求できます。
これはたとえ離婚協議書にそのような合意があっても同じです。
お困りの方は一度ご相談ください。
私が子供の親権者となって離婚し、離婚後元夫(父親)から養育費の支払を受けていました。
しかし、しばらくたった後、元夫から振込まれる養育費の額が減りました。
理由を聞いてみると、
私が再婚して、再婚相手と子供が養子縁組したからということでした。
このように離婚の際公正証書で合意した養育費の額を一方的に減額することは許されるのでしょうか?
というご相談をいただくことがあります。
基本当事者の合意が優先されますので、元夫(父親)の申入れに理由があるとして、母親が減額に応じるのは自由です。
また、逆に母親側が養育費の増額を申し入れるケースもあり、これも同じように当事者間で合意ができれば問題はありません。
問題は応じられない場合です。
この場合、やはり家庭裁判所に調停・審判を申し立てることになります。
では、家庭裁判所はどのような場合に一度決められた養育費の額を減額若しくは増額するのでしょうか?
契約一般についていえることですが、契約時にまったく予見できなかったような社会的事情の変動が当事者の責に帰することができない原因により生じ、しかもそれが重大であるというときは、当事者に契約上の債務履行を迫ることが著しく公平に反するような場合、契約内容の変更を請求することが認められています。
これを事情変更の原則といいます。
この原則は養育費に関する合意についても当てはまり、上記事情の変更があれば養育費の減額の申入れを請求できることになります。
では、事情変更とは具体的にどのような場合をいうのでしょうか。
社会経済的な要因としては著しい物価の高騰、貨幣価値の変動という事情があります。
こちらについては比較的経済の安定している現在の日本ではあまり考えられないでしょうか。
当事者に関するものとしては、父母の再婚、再婚に伴う子の養子縁組、父母の病気、失職、収入の大幅減等の事情があります。
例えば、先の相談のように、親権者となった母親が再婚し、その再婚相手の男性と子が養子縁組した場合、子に対して一次的に扶養義務を負うのは養親ということになり、実親は二次的な義務を負うにすぎません。
この場合、父親からの養育費減額の申入れは認められる可能性が高いと言えます。
ただし、このように事情変更として考慮されうる事情があったとしても、養育費の減額が認められるのは当事者の合意ができた場合、若しくは家庭裁判所の調停が成立した場合、審判が確定して場合であり、一方的な申し入れで当然に減額されるものではありません。
先の相談のように父親の判断で一方的に減額することは許されず、当事者間で合意し、新たに合意書を作成するか裁判所による判断を待たなくてはなりません。
離婚協議書で面会交流について定めますが、この面会交流について、面会させなかったらどうなるのか、というご質問があります。
平成26年12月4日に興味深い裁判所の決定がくだされていますのでご紹介します。
離婚により親権者となった母親が、調停で決められた父親と子との面会交流を実現させなかったということで
父親が親権変更を家庭裁判所に申し立てました。
この夫婦、離婚の際に双方が親権を求めていましたが、調停の結果、月1回の面会交流を条件に母親が親権者となって調停離婚が成立しました。
しかし、その後父親は1年以上に亘り面会交流できず、やむなく親権変更の申し立てとなったようです。
もともとはこの父親と長男の関係は良好だったようですが、面会交流は長男がこれを拒む態度を示して上手くいきませんでした。
父親の側は「母親が拒むよう仕向けている」と主張しています。
福岡家庭裁判所は、
面会交流を実現できない原因は主に母親にあるとして、円滑な面会交流の実現のためには親権者変更以外に手段はない、と親権の変更を認めました。
(ちなみに親権は父親に変更としましたが、監護権は母親のままですので、この決定により父親が子を引き取ることはないようです。)
これまで、虐待等を理由に親権変更を認めた裁判例はありましたが、面会交流を理由に親権変更が認められたのは異例です。
このところ、離婚協議書や調停で定められた面会交流が実現されず、面会交流を望んで家裁に調停を申立てるケースが増えているといいます。
たしかに、DVや虐待があった場合等で、父親と面会することが子の心身の発達にとって好ましくないという事情があれば面会交流が制限されることもあるようです。
しかし、そのような事情もないのに、ただ、父親と面会させたくない、父親と関係を持ちたくないというだけでは
面会交流を拒む正当な理由にはならないでしょう。
面会交流を実現させなかったからといって、全てのケースがこの決定のように親権変更に結びつくわけではありません。
しかしこの福岡家裁の決定は、面会交流を不当に拒む親が驚く程多いという現実に対して、あまりに不当な面会交流の拒絶に対しては厳しい態度で望むという裁判所の方針を示したのかもしれません。
面会交流は子が一人の人間として成長発達するために必要な子どもの権利でもあります。
何が子どもにとって最良なのか常に考えなければなりません。
DV,虐待などの事情等正当な理由がない限り離婚協議書、調停調書で決められた最低限の面会交流は実現させるようにした方がよさそうです。
養育費の支払開始時期については、離婚により、子が扶養を要する状態が発生したときですが、実際は離婚した月から、もしくは離婚した月の翌月から等決めることが多いです。
養育費の支払終期については、以前は子供が高校を卒業する「18歳になるまで」とするのが主流だったようですが、最近は一般には成人(満20歳)に達する月までとするのが原則です。
裁判例でも、
「子が成年に達したときは母の親権が終了するから、子の監護に関する処分としての養育費の請求は、子が成年に達するまでの分に限られる」
とするものがあります。
しかし最近、終期については「大学を卒業するまで」とする場合も多く見受けられるようになってきました。
これは、大学に進学、卒業することが特別な状況とは言えなくなってきたという背景があります。
負担義務者(主に夫でしょうか)が子の大学進学を強く望み、大学進学費用を自ら負担する旨認識しているときなどは「大学を卒業するまで」、中には「大学院を卒業するまで」と定めることもあります。
このあたりは協議離婚であれば当事者が自由に決めることができところなので、父母が子どもの将来についてよく話し合って決めていただきたいものです。
とにかく離婚を急ぎたいから、養育費の取り決めもしないまま子どもの親権者となって離婚する方も多いことと思います。
厚生労働省の発表によると、離婚後養育費の支払を受けているのは全体の2割に止まっていますので驚きです。
このような場合、離婚後でも別れた夫に養育費の請求ができるのでしょうか。
結論からいいますと、離婚後でも養育費の請求はできます。
親権者とならなくても、親であることに変わりなく、子供に対して扶養義務を負うことになります。
養育費支払義務は「生活保持義務」と言われ、親は、自分の生活を保持するのと同程度の生活を子供に保持させる義務があります。
なので、単に借金がある、収入が低いという理由から養育費の支払いを免れることはできません。
現に自分で居住し、生活が維持出来ている以上、自らの生活を削ってでも子にも同等の生活を保障しなくてはなりません。
また、無職の場合でも潜在的稼働能力があるとして収入が認定されることもあります。
このように、離婚の際養育費の取り決めをしなかったような場合、まず、元の夫と協議が可能な場合はまず協議をして、養育費の分担額、支払時期、支払方法を取り決めることになります。
では、いつの時点からの養育費がもらえるのでしょう?
遡ってもらってもよいのでしょうか?
この点につきましては、諸説あります。
①請求した時点から
②子が要扶養状態にあり、扶養義務者が扶養可能状態にあった場合、
過去に遡って請求できる
裁判例もまちまちですので、
具体的にご検討の際は一度ご相談ください。
協議がまとまれば養育費分担に関する合意書を作成し、
できればこれを強制執行可能な公正証書にしておくとよろしいでしょう。
強制執行認諾条項付公正証書にしておけば、相手の支払が滞った場合、裁判をすることなく、給与、財産を差し押さえることができるようになります。
このような協議ができない場合、やはり家庭裁判所に養育費支払の調停を申立てることになります。
離婚をしたいと思っています。
ただ、結婚を機に家庭に入り、ずっと専業主婦でした。
夫は家も土地も俺の名義だし、俺がローンを払っているのだから財産分与はしないと言っています。
専業主婦でも財産分与をしてもらえるのでしょうか?
このようなご相談をお受けすることがあります。
結論から言いますと、原則として財産分与は2分の1の割合でしてもらえます。
これは財産の名義が相手のものであっても関係ありません。
財産分与というのは、婚姻期間中に協力して形成した財産を、離婚に際し清算することをいいますが、夫婦で協力して形成したという実態があれば、名義の如何に拘わらず、夫婦の共有とみなされ、財産分与の対象となります。
収入があるのは夫の方かもしれませんが、これは妻が家庭において家事をこなし、子育てを分担しているからです。夫の収入は妻の貢献があって得られるものであり、夫婦で協力して形成したという実態があるのです。
また財産分与の割合についても、以前は、専業主婦などのようなケースでは、2分の1ではなく、夫の取得割合が多い傾向にありましたが、最近では特段の事情がないかぎり、2分の1の割合が適用されているようです。
子供の面会交流について興味深い最高裁の判例が出ているのでご紹介します。
(平成25年3月28日決定)
面会交流の実施条件に違反するような場合、これを強制執行(間接強制)できるか否かという点について3件まとめて判断が出ています。
離婚の際に離婚協議書や調停調書で監護親でない親と子供との面会交流が決められると思いますが、これが約束通り実行されないことが多々あります。
当事務所でも「別れた奥さんが子供に会わせてくれない」というご相談を多数いただきます。
そのような場合、非監護親と子供の面会を実現させるべく、間接的に強制できるのか否かということに関する判例です。
間接強制とは「実施しなければ1回につき○○万円支払え」などと金銭による罰則を課すことで間接的に強制することです。
判決当時、ちょうど子供の面会交流についてかなりこだわりのあるお客様から離婚協議書の作成依頼を受けていたので、大変参考になるものでした。
結論としては間接強制を認めるものと認めないものがありました。
判断を分けた基準としては、面会交流の給付内容が特定されているか否かという点です。
つまり面会交流の方法が具体的・詳細に決められているかということ。
判決では「面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡し方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないと言える場合には、間接強制決定をすることができると解するのが相当」としています。
○毎週土曜日に面会すること
○引渡しは午前○時、
○終了は午後○時
○引渡し方法は○○駅改札で、
○やむを得ない事由で変更が必要なときは連絡を取り合い代替日を決める
上記のように面会の方法が具体的に決められていれば債務の内容が明らかであるからこれを実現しないのは債務不履行…ということでしょうか。
この決定をみると今後子供の面会交流について細かく決めたがる方が増える可能性がありますね。
ただ、あまり細かく決めようとするとなかなか合意に至らず、離婚もできないことになりかねませんし、また細かく決めすぎてがんじがらめになってしまう可能性もあります。
お子様がまだ小さいときは取り決め通り面会できるでしょうが、大きくなるにつれて子供の生活環境も変わってきます。
取り決め通り面会がスムーズにできない状況も出てくるでしょう。
面会交流は非監護親が子供と触れ合うものである一方で子供のためのものでもありますから、子供の福祉に配慮してきめなければなりません。
そのあたりとのバランスが難しいですね。
離婚協議書のご依頼をいただくことも多い当事務所ですが、これから一人でお子様を育てていかれるお母さんが少しでも安心できるよう、離婚協議書の作成には出来る限りの配慮を心がけております。
以前お客様から、
養育費の支払を一回でもしなかった場合、成人までの毎月の養育費全額を一括で支払ってもらえるよう取り決めたい
というご要望がありました。
分割金の支払を怠った場合に、分割して支払う利益を失い、残額を一括で支払わなければならないとする約束のことを「過怠約款」といいます。
借金の返済ではもちろんのこと、例えば慰謝料の支払いをする場合においても、一括支払が難しいようなケースでは分割払いにすることがあります。
分割払いの際、このよう過怠約款を設けることが多々あります。
支払を怠ったら残額を一度に支払わなければならなくなりますので、このように取り決めることで、毎月の支払を促すことにもなります。
確かに、養育費の場合も慰謝料の場合と同じように考え、受け取る養育費の総額を想定し、それを分割で受け取っていると考えれば、過怠約款を設けられるとも考えられます。
これから子供を育てていくお母様の側からすると、毎月の支払が促されることになりますし、仮に不払いがあったとしても残りを一括でもらえるならそれはそれで安心ですよね。
しかし、子供の養育費というのは、子供の生活費、教育費等であり、子供が成長していく過程の中でその時々に支払義務が発生するものなので、毎月支払いが原則です。
また、父母が再婚した場合など、生活状況の変化によって額(支払義務内容)が変動する可能性がありますし、仮に子供が途中で就職した等事情の変更があれば支払義務自体がなくなる可能性があります。
上記のように支払義務内容が変更、消滅する可能性があることから総額が想定しづらく、過怠約款になじまないと言えます。
実務においてはやはり否定的な立場が多いようです。
念のため、公証役場にも確認をしましたが、過怠約款は入れられないというお答えでした。
ただ、やはりこれでは少し不安が残ります。
その代わりというのも何ですが、養育費の支払が滞り、強制執行の手続をする場合、既に不払いになっている分についてはもちろんのこと、将来の分についても強制執行の手続が取れるようになっています。
(公正証書による離婚協議書を作成している場合です)
従来養育費は、毎月数万円という少額にもかかわらず、毎月の支払を怠ったときに、その都度給与の差し押さえを申し立てることが必要でした。
毎月毎月差し押さえの手続をするのは時間的にも費用的にも相当の負担です。
数ヶ月不払額がまとまってから手続するにしても不払いが続けば毎日の生活に支障をきたし随分不都合でしたが、現在はその不都合が解消され、まとめて手続することができます。
さて、離婚の際に取り決めることとして財産分与というものがあります。
婚姻中に形成された財産を離婚の際に清算することです。
また、離婚後の経済的な弱者(通常は妻)に対する扶養を含むことがあります。
婚姻中に形成された財産なので、
結婚前に貯めていたお金や、自分の親の遺産などは分与の対象にはなりません。
その一方で、
家や車などたとえ夫の名義になっているものでも、
婚姻期間中に得た給与などで購入したものは夫婦で形成した財産として分与の対象になります。
見落としがちなのが退職金です。
退職金も賃金の後払い的性格を持つことから財産分与の対象とする裁判例があります。
なので、既に支払われている退職金については財産分与の対象となるでしょう。
問題は未だ支払われていない将来受領予定の退職金の処遇です。
不安定な世の中ですから、退職金が支給されるか否かは不確定です。
これについて参考になる裁判例があります。
「勤続30年超の勤務先を相手方が退職すれば支給を受ける蓋然性が翏い退職金は
財産分与の対象にとなる共有財産に当たる」(東京家庭裁判所平22年6月23日)
勤続年数が長く、もうすぐ定年を迎える状況で
退職金が支給されるのはほぼ間違いないような場合は
財産分与の対象になる傾向が強いと言えるでしょうか。
逆に退職までの年数がまだまだ長い場合
不確定さは強くなり、財産分与の対象とはなりにくいと言えるでしょう。
熟年離婚を考えている方などは是非検討するべき項目だといえますね
夫婦が離婚することになり、
母親が子供の親権者となり、子を引き取り育てることになったとします。
婚姻期間中妻と子は、夫が加入している健康保険(民間企業勤務)の被扶養者でした。
このようなケースで、離婚後、子供の医療保険はどうなるのでしょうか。
この点、妻(母親)が離婚に際し、新たに健康保険(又は国民健康保険)に加入する必要があるのは当然として、子供については、親権者となる母親の保険に加入が必要とも思われます。
恐らく、多くの方がそのように思っているでしょう。
しかし、子供については離婚後の扶養の実態に従って、父と母のどちらの医療保険に加入するかが決まり、父母のどちらが親権者であるかというのは直接関係しませんし、同一の世帯に属している必要もありません。
仮に、離婚後父親が多額の養育費を支払い、子の生活が主にその養育費によって維持されているのという事情があり、子が父の健康保険の被扶養者と認定されれば、父の保険に加入したままということも考えられます。
したがって、離婚した後に、子供が母親であるあなたと生活している場合でも、当然に子供が父の健康保険の被扶養者の資格を喪失するわけではないのです。
離婚後、父に養育費は支払ってもらっているが、主に母の収入で生計を立てているのであれば、母の加入している健康保険(又は国民健康保険)に加入することになりますので、この場合は、母の加入している保険に子の異動届を提出します。
その際子供の資格喪失証明書(夫を被保険者とする健康保険の被扶養者たる資格を喪失したことの証明)の添付が必要になります。
ご不明な点があればご相談ください。
先日某芸能人夫婦の離婚が騒ぎになっていましたが、
その離婚を決意するに至った理由がモラハラではないかと言われています。
モラハラ=モラルハラスメントとは、モラルによる精神的な暴力、嫌がらせのこと。俗語としてモラハラと略すこともある。フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉です。
DV=ドメスティックバイオレンスが暴力で相手を支配しようとする行為なのに対し、モラハラは無視・暴言・脅迫などの精神的は嫌がらせをすることで、相手を支配しようという行為を言います。
その特徴としては、
○最初はとてもいい人、優しい夫、彼
○相手の心を掴んだと感じた時から豹変する
○外面はとてもいい 外ではいい夫を演じる
○家の中では口をきかない、無視をする、食事を一緒にとらない、家事の不出来を次々に指摘する等
○身体的暴力はない=証拠を残さない
○本人に対してのみならず、子供をいじめたり、大切なものを捨てたり、ペットをいじめたりする
○嫉妬深く、常に相手を自分の監視下に置きたがる
等々あるようです。
では、モラハラを理由に離婚はできるのでしょうか。
離婚を求める裁判を提起する場合には、民法770条1項各号に定める「離婚原因」が必要です。
離婚原因は以下のとおり。
○離婚原因(民法770条1項)
1 配偶者に不貞な行為があったとき
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があったとき
暴力や虐待行為は例え夫婦間でも許されるものではありません。
配偶者からの暴力(DV=ドメスティックバイオレンス)は「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として離婚原因になりえます。
また、暴力には、身体に対する暴力のみならず、心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれますので、精神的な暴力も暴力の一種です。
平成13年に施行されたDV防止法においても、
「配偶者からの暴力」には、精神的暴力も含まれることが明確化されています。
従って、この芸能人夫婦のようにモラハラを理由にした離婚裁判で、
もしモラハラが事実なのであれば、離婚が認められる可能性もあるのです。
もちろん、モラハラは夫(男性)に限ったことではなく、
妻の側のモラハラというのもあります。
妻のモラハラを理由に家に帰りたくない夫というのも増えているようです。
心当たりがある方は一度ご相談ください。
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